コラム

2016.07.26更新

1、内縁の配偶者が他方の配偶者の関与しない交通事故で死亡した場合、内縁の生存配偶者にどのような内容の損害賠償請求権が認められかが、問題となります。

2、交通事故の損害賠償を巡って、加害者と争う関係にあるのは、内縁の生存配偶者(これまで2人暮らしの生活をともにした者)と、すでに独立している内縁の死亡配偶者の相続人(実子、養子)です。
被害者側の間で、利害の対立・感情の対立もあり、婚姻関係にある配偶者とその子との間のようには、協力する関係・協働する関係にあるとは言えません。

3、 内縁の配偶者の損害賠償請求権について関連する判例を調べてみると、内縁関係の夫婦2人暮らしの生活がこれまであるので、内縁の生存配偶者(当然被扶養者 であるとき)には、(1)扶養利益の喪失に対する損害賠償として逸失利益の40%~50%が認められ、(2)民法711条の固有の慰謝料として、350万 円~1300万円の範囲の金額が認められています。

投稿者: 小山晃法律事務所

2016.07.26更新

1、現場での具体的対応
交通事故発生について責任の有無にかかわらず、運転者その他の乗務員の緊急措置義務が、道路交通法72条1項に定められています。

①まず、運転停止及び状況確認義務です(「直ちに」)。

②次に負傷者の救護措置義務です(「直ちに」)。
これを怠ると、救護義務違反(ひき逃げ)となり、厳しく処罰されます。
運転者等は、自ら被害者を医師の治療を受けうる状態に置くかあるいは救急車到着まで被害者に付き添う等していなければならず、決して他人任せにしてはいけません。
運転者が被害者の様子を見て、傷が軽いから救護の必要は無いとして、その場を立ち去ってしまうと、救護義務違反となります(最判昭和45年4月10日)。
また、決して傍観者であってはならないのです。

③さらに道路における危険防止措置義務(「直ちに」)です。
引き続いて交通事故が起こらないように、事故車両や積荷等が道路上に放置されているときは、速やかに他の場所に移動する、片付ける、負傷者を路外の安全な場所に移動させる事が必要です。
油もれがあり、道路上に流れているときは、付近にある砂等をまくことも必要です。

④警察署への事故報告義務(「直ちに」)です。
(ア)事故が発生した日時及び場所
(イ)死傷者の数及び負傷者の負傷の程度
(ウ)損壊した物及び損壊の程度
(エ)事故車両の積載物
(オ)その事故について講じた措置
を報告することが必要です。  


2、保険会社への連絡
保険会社への連絡が遅くなりますと、保険金が支払われなくなる場合もありますので、注意してください。


3、現場での証拠の収集と保全
(ア)事故状況の記録を記録することー写真を撮る、図面に書くなど
何を記録するかと言えば、次のような事項が考えられます。 
・衝突地点、車両等の衝突箇所や程度
・被害者の転倒地点や車両の停止位置
・スリップ痕や血痕の位置、形状
・積荷の散乱状況
・事故発生の時刻、天候、道路幅、路面の状態
・交通量等の道路状況、交通規制の有無問題

(イ)相手方の氏名、住所、連絡先、車のナンバーを確認してメモする、写真に撮る。                        
目撃者の住所、氏名、連絡先を確認してメモする。
相手方、目撃者の供述をメモする。

(ウ)信号の色が争われるような事故の場合は、事故に至る経過を動画で記録するドライブレコーダーが大変有用です。

投稿者: 小山晃法律事務所

2016.07.26更新

1、制度の意義
平成10年1月に施行された現行民事訴訟法により創設された新しい制度です。
比較的少額な金銭請求事件を、その価額に見合った少ない経済的負担(費用)と時間で済むように、簡易迅速な訴訟手続で解決することを目的としています。
平成16年4月には、対象となる事件の訴額が30万円以下から60万円以下に拡大されたことから、さらに利用が拡大しています。
法律に詳しくない一般市民の利用が予定されており、本人訴訟を前提として創設された手続といえます。

2、手続きの特徴
それは、以下に述べるとおりです。
(1)訴額が60万円以下の金銭の支払い請求事件に限られます(法368Ⅰ)。
(2)審理は1回の期日で完了になります(法370Ⅰ)。
(3)期日前又はその期日にすべて攻撃防衛方法を提出しなければなりません(370Ⅱ)。 
(4)証拠書類や証人は、即時に取り調べられるものに限られます(371)。第1回期日に書類等の原本持参、証人の出頭が必要です。
(5)裁判所は、相当と認めるときは、電話会議装置を利用して証人尋問をすることが出来ます(規226)。
(6)調書には、証人等の陳述の記載をすることを要しません(規227Ⅰ)。
(7)証人等の尋問前に裁判官の命令、当事者の申し出があるときは、裁判所書記官は当事者の裁判上の利用に供するため、録音テープ等に証人等の陳述を記録し、当事者の申し出がある場合には、録音テープの複製を許さなければなりません(規227Ⅱ)。
(8)判決の言い渡しは、原則として口頭弁論終結後直ちにするものとし(即日判決)、いわゆる調書判決の規定を準用しています(374)。
(9)支払猶予や分割払の判決も可能です(375)。
(10)判決に対する不服申立は、異議申立に限られ、控訴は出来ません(377、378)。
(11)通常の手続への移行があります(373)。
(12)同一裁判所に対する利用回数に制限がある(1年間10回まで。規223)。
(13)公示送達事件は利用できません(373Ⅲ③)。
(14) 反訴は禁止されます(377)。被告が同じ手続きの中で自分の損害賠償の請求をしようと思えば、通常訴訟への移行が必要です。なお、相殺の抗弁として、請 求を持ち出すことは可能ですが、不法行為債権を受動債権とする相殺は禁止されていますので(民法509条)、たとえ同一の事故のものであっても、相殺はで きません。

3、交通事故訴訟への利用
ほとんど事実関係に争いのない単純な交通事故の事案には、利用可能で しょうが、事故の態様や因果関係、損害額等に争いがある事案には、利用することはできません。

4、少額訴訟の審理手続き
最大の特徴としてあげられるのは、弁論(主張)と証拠調べ(当事者 本人尋問)との一体化です。
少 額訴訟は、本人訴訟を前提として創設された手続であり、利用するのは法律に詳しくない一般市民ですので、通常の民事訴訟のように主張も証明も当事者の責任 においてなされ、それが出来ない当事者は敗訴するというような厳格な弁論主義では、当事者の納得のいく裁判の実現が目指せなくなっています。
その ため少額訴訟手続では、弁論も証拠調べも一体のものとして行われ、証拠調べの結果、それまでに主張されていない事実が判明した場合等に、裁判所が後見的な 役割を持って、適切な釈明権を行使することで、適切で納得のいく訴訟運営をしていくことが出来るように運用されています。

投稿者: 小山晃法律事務所

2016.07.26更新

1、意義
訴訟は、最後の紛争解決方式といえ、私的紛争を強制的、公権的に解決する制度です。

2、訴え提起
訴訟は、訴状という文書を裁判所に提出することによって始まります(訴提起)。
訴状には、①当事者(訴えを提起する者=原告、訴えられる者=被告)の住所・氏名、②請求の趣旨、③請求の原因、④附属書類の表示、⑤訴提起日を記載し、誰から誰に対し、どのような理由に基づいて、どのような請求をし、裁判所にどのような判決を求めるのかを記載します。
本人(素人)でも訴訟を提起し、遂行することはできますが、交通事故訴訟はかなり専門的になっていますので、私達弁護士を依頼することが得策です。

3、訴訟の流れ
裁判所で訴状が受理されますと、月1回のペースで審理が進んでいきます。
相手方(被告)は、原告の訴状による主張に対し、答弁書で反論(主張)を行います。
原 告は、答弁書の主張に対し、準備書面で反論(主張)を行い、それが繰り返されて争点(例えば、被告の過失、原告の過失、因果関係等)が形成されていき、そ れぞれの争点について双方が立証を行い、証拠調べを経て裁判所が判決によって紛争を強制的かつ公権的に解決するのが訴訟による解決です。
実際は、双方の主張や証拠を整理するための弁論準備手続などを経て、裁判所が和解案を示して和解を勧めるのが通常です。そして、和解案をもとに話し合いを続け、双方が譲歩をして最終解決に至ると、和解成立に至ります。
和解が成立すると和解調書に記載され、その記載は確定判決と同一の効力を持ちます。
従って、相手方が任意に債務を履行しないときは、直ちに強制執行することができます。

4、訴訟の特色
訴 訟は調停とは異なり、本来公権的に強制的解決を図る制度であり、①手続に厳格な定めがあり、②判断基準は実定法規・裁判例によります。例えば、訴状等と呼 出状が届いているのに法廷に出頭しない場合は、原告の主張を認めたものとして原告の請求を認容する判決がなされます(欠席判決)。また当事者の対立をする 主張は、最終的には証拠によってその真偽が判断されることになります。

投稿者: 小山晃法律事務所

2016.07.26更新

1、意義
交通事故の紛争を裁判所において話し合いで解決する方法として、簡易裁判所で行われる民事調停(交通調停)があります。
調停は、原則として裁判官1人と民間人である調停委員2人で構成される調停委員会によって行われます。
手続の進め方について厳格な定めはなく、非公開ですので、当事者は十分に意見を述べることができます。
また、内容に関しても実定法規上の一般的な定めよりも、むしろ各個の具体的紛争の実情に即して、当事者双方の納得づくで妥当かつ現実的な解決が図られます。
訴訟に比べて費用も安く、日数も短期間で済みます。
調停は、1回の期日でまとまらないときは数回繰り返され、当事者双方が譲り合って妥協に至れば調停成立となり、まとまらなければ調停不成立となります。

2、申立て
調停は、当事者の申立てに始まり、申立ては調停申立書を裁判所に提出することによります。
調停申立書は、誰が、誰に対し、どのような交通紛争の、どのような解決を求めるかを記載します。
申立てをする方を申立人、申し立てられる方を相手方と呼びます。
調停申立ては、相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に提出します。
但し、人身の被害者は、自分の住所地を管轄する簡易裁判所に申立をすることもできます。

3、調停の成立と効力
当事者間で一定の合意が成立し、これを調書に記載したとき(調停成立)は、裁判上の和解と同一の効力を、従って確定判決と同一の効力を有しますので、強制執行もできます。
相手方が裁判所に出頭しなかったり、出頭しても自分の主張を譲らないときは、合意の成立の見込みがないので、結局調停は不成立となります。
調停においては、訴訟のように相手方が欠席すれば、申立人の主張を認めたことになって不利益な結果を受け入れるということ(欠席判決)はありません。
また、当事者双方とも自分の主張を譲歩する義務まではないので、当事者は調停手続においては、出欠・主張において自主決定権を有していると言えます。

4、調停のデメリット
調停においては、調停の主任たる裁判官の実質的関与が希薄なこと(調停成立、不成立の判断をするとき以外出席しない)や、民間調停委員の不当な説得が安易な折半調停や押しつけの調停を招くことはないか、以前から心配されています。
交通調停においては、交通事故紛争がかなり専門化していますので、当事者はもとより、調停委員においても、訴訟なみの交通事故に関する専門知識をつける必要があるように思います。
そういう意味で、当事者も法律の専門家である弁護士を代理人に選任する必要性は、高まっています。

投稿者: 小山晃法律事務所

2016.07.26更新

1 示談の意義
示談とは、交通事故などの不法行為の際、当事者間の話し合いで加害者が損害賠償として支払うべき金額、支払方法、支払期日などを約し、被害者もそれ以上の請求権を放棄することにして、紛争を終結させる旨の合意のことです。

2 示談の当事者
示談の当事者となるのは、加害者(法律上の賠償責任者)と被害者となります。
法律上の賠償責任者とは、運転者(民法709条)、使用者(民法715条。会社・雇い主など)、運行供用者(自賠法3条)などが考えられ、これら以外の者、あるいはこれらの者から代理権を与えられていない者と交渉し、示談を成立させても、示談は無効となってしまいます。

3 示談の時期(タイミング)
これについては、被害者の負傷が治癒したり、症状固定(後遺症の残存)に至ったとき以降にすべきです。
確かに、被害者としては一日も早く賠償金を手にしたい気持ちから、入通院治療中であっても示談してしまうことがあります。
し かし、損害賠償の費目である通院交通費、入院雑費、休業損害、入通院慰謝料は、基本的には入通院の日数・期間を基礎に算出されますところ、入通院中に将来 の入通院日数・期間を正確に予想することはできませんし、示談してしまうと、示談の本質上被害者は、示談当時ないしその後にそれ以上の損害が現れても、原 則として追加請求することはできなくなるからです。
また当然ながら、損害賠償債権が時効にかかった後には、示談することができなくなります。

4 示談金額
基本的には、当事者の合意で自由に決められますが、賠償責任者はできるだけ低い金額を、被害者はできるだけ高い金額を、それぞれ望むものです。
と なると、適正基準はあるのかということになりますが、これまでも触れておりますが、大きく、①自賠責の基準(人身事故のみ)、②任意保険会社の基準、③裁 判基準の3つの基準があります。自賠責基準が最も低く、裁判基準が最も高いということになりますので、示談金額についても法律の専門家である弁護士に聞く のが最も安心です。
上記の基準と比べて極端に低い金額、あるいは極端に高い金額での示談は、不利益を被る者の無思慮・無経験・軽率・窮迫に乗じてなされた暴利行為として、民法90条で無効となる場合があります。

5 示談の履行可能性とその確保
示 談が成立しても、任意保険が付保されていれば問題ありませんが、そうでなければ、示談の履行は賠償責任者の資力に大きくかかってきます。資力に心配なとき は、加害者の身内(親・兄弟等)に連帯保証人になってもらうことが必要です。但し、連帯保証を強制することはできません。
示談に強制執行力を付与する方法として、①公正証書の作成、②簡易裁判所の即決和解の利用があります。これにより、示談金の支払いが為されない場合、裁判を経ることなく直ちに強制執行ができます。

6 示談書の作成
示談も契約である以上、契約自由の原則(方式の自由)により、口頭の合意のみによって完全な効力が生じますので、書面の作成は不要です。
しかし、口頭の合意だけですとあいまいですし、後日内容を巡って争いとなる場合がありますので、示談が成立したら示談書(書面)を作成することが大切です。

7 示談の効力
示談が成立すると被害者は、示談当時ないしはその後にそれ以上の損害があらわれても、原則として追加請求することは許されなくなります。従って、示談をするにあたっては、慎重な姿勢で臨む必要があります。
しかし、交通事故などで示談後に予期せぬ再手術や後遺症により損害が増大した場合、上記原則論だけで処理できるのかという問題があります。

投稿者: 小山晃法律事務所

2016.07.26更新

1  自転車を運転していて、歩道上で反対側から歩いてきた歩行者と衝突して歩行者を負傷させた場合、歩行者に生じた損害(治療費、入院雑費、通院交通費、休業 損害、入通院慰謝料、後遺障害逸失利益、後遺障害慰謝料等)すべてを、自転車の運転者は賠償しなければならないでしょうか。
すなわち、歩行者に例えば、前方注視義務違反の過失があれば、その過失を考慮して、損害賠償額を減額されるでしょうか、という過失相殺の問題です。

2 自動車・オートバイと歩行者との衝突事故の場合、歩行者側の過失の程度により、車両側の責任を軽減する「過失相殺」がなされ、その基準が東京地裁の研究会などにより示されていますが、自転車については「基準」がありませんでした。
しかし、自転車と歩行者との歩道上の衝突事故について、平成22年3月、東京、横浜、名古屋、大阪の4地裁の裁判官が法律雑誌で誌上討論し、「原則歩行者に過失はない」という新基準を示しました。
歩道上の事故については、道路交通法で自転車の走行が原則禁止され、通行できる場合も歩行者の安全に注意する義務があるから、「事故の責任は、原則、自転車運転者に負わせるべき」であり、運転者が児童や高齢者でも変わらないとされたからです。
この基準は、今後の訴訟において、必ず参考にされるものと考えられます。
従って、自転車と歩行者との歩行者専用の歩道上の事故については、歩行者の過失は、原則相殺されないということになります。

投稿者: 小山晃法律事務所

2016.07.26更新

1 過失相殺とは、被害者に過失があったときに、裁判所はこれを考慮して損害賠償を定めることができるという制度のことです。
被害者の過失が、損害の発生または損害の拡大について認められる場合、その賠償額を減少させることをいい、加害者と被害者間で損害の公平な分担を図ろうとするものです。
即ち、自らの不注意のために損害の発生またはその拡大を招きながら、それらをすべて加害者に転嫁して賠償額を定めるのは不公平であるということから設けられた制度です。

2 過失相殺するかどうかは、裁判所の自由な裁量に任されています。
しかし、多数・多様な交通事故を、迅速適正に処理するためには、客観的で明確な基準が求められることは言うまでもありません。
これまでの多数の裁判例の積み重ねにより、過失相殺率の認定基準(別冊判例タイムズNo.16)ができあがっています。
この基準に適合する事故態様もあれば、この基準にそのまま当てはまらない事故態様もありますので、過失割合を決めるにあたっては、慎重な判断が求められます。

3 四輪車同士の信号機のない交差点での出会い頭の衝突事故の場合、上記の基準によれば、
(1) 左方車40対右方車60
(2) 広路車30対狭路車70
(3) 一時停止規制車80対非一時停止規制車20
(4) 優先車10対劣後車90
となっています。

4 過失割合については、被害者は心情的にできるだけ小さい割合を望むことになります。しかし、損害額の大きさとのバランスを考えて判断すべきではないかと考えます。
被 害者に発生した損害額が大きい場合(例えば5,000万円)、過失割合が1割違えば500万円の違いが出てきますし、損害額が少額の場合(例えば10万 円)、過失割合が1割違っても1万円しか違わないということになりますので、被害者においても冷静な判断が求められます。

5 当事務所は、交通の調停・訴訟も多数手がけておりますので、お気軽にご相談下さい。

投稿者: 小山晃法律事務所

2016.07.26更新

交通事故に遭った被害者に、特異な性格などの心因的素因や既往症などの身体的素因があって、そのため治療が長期化し、多額の治療費などの損害賠償を請求された場合、加害者はその支払いに応じなければならないかという問題です。

結 論的には、被害者の過失が損害の発生・拡大に寄与した場合には、損害のすべてを加害者に負担させるのは酷であるので、損害の公平な分担を図るために、被害 者の過失を考慮して損害賠償の額を定めることができるとする民法722条2項(過失相殺)を、この場合にも類推適用して事案の妥当な解決が図られていま す。

最高裁判所(昭和63年4月21日判決)は、自動車に乗車中の主婦が軽度の追突事故に遭い、むち打ち症の傷害を負ったが、その後、外 傷性神経症を発症して10年以上も入通院して治療を継続したケースで、事故後の3年間の損害についてのみ相当因果関係を認め、しかも被害者の特異な性格、 自発的意欲の欠如などが症状の悪化と固定化を招いたとして、損害のうち4割の限度で加害者に賠償責任を負わせました(心因的素因のケース)。

ま た最高裁判所(平成4年6月25日判決)は、事故の1ヵ月前に車内でエンジンをかけて仮眠中に一酸化炭素中毒にかかり、2週間入院したことがある被害者 (タクシーの運転手、男性、57歳)が、高速道路の追越車線上で停車中に追突されて頭部打撲症の傷害を負い、その後、精神障害(痴呆様行動、理解力欠如、 失見当識、記銘力障害、言語さてつ症等)を発症して事故の3年後に死亡したというものについて、精神障害及び死亡と本件事故との間に相当因果関係を認めた 上で、被害者が精神障害を発して死亡するに至ったのは、事故による頭部の打撲症のほか、一酸化炭素中毒もその原因となっていたことは明らかであるとして、 被害者に生じた損害のうち、身体的素因で50%、さらに高速道路の追越車線上での停車で30%、合計80%を減額しました(身体的素因のケース)。

最 高裁判所が、心因的素因や身体的素因による減額を認めているのは、そのうち病的なもの、「疾患」といえるものに限られています。誰でも起こしうる心因的反 応や、通常経年的に弱くなった老人の骨の状態などは、ここにいう「心因的素因」や「身体的素因」には当たりませんので、誤解のないようにしてください。

*三重県の情報サイト「とうけい」に掲載された記事です。

投稿者: 小山晃法律事務所

2016.07.26更新

従 業員が会社の業務中に第三者に損害を与えた場合、例えば会社の貨物自動車を運転中に事故を起こした場合、第三者に損害賠償をした会社は、従業員に対し、求 償することができる(民法715条3項)。これは本来の責任がその従業員にあることからすれば、至極当然ということになります。

しかし使 用者である会社は、従業員を危険な業務に従事させ利益を得ているにもかかわらず、その過程で生じる損害をすべて従業員に負担させることは不公平であり、会 社は業務上定型的に予想される危険については、保険制度を利用するなどして損失を分散させることができることなどから、判例は使用者の求償権を制限しよう としている。

会社が運転の初心者に、その担当職務でないのに臨時に会社の自動車の運転を命じ、その結果事故が発生した場合、会社の損失をカバーするのに任意保険に加入していなかった状況の下で、従業員に対する会社の求償権を否定した判例があります(東京地裁判決昭和46年9月7日)。

ま たタンクローリーを運転中物損事故を起こした事案で、会社が経費節減のため対物賠償保険にも車両保険も加入していなかったこと、従業員がタンクローリーに は特命により臨時的に乗務するに過ぎなかったこと、従業員の勤務成績が普通以上であったことなどから、求償しうる範囲は損害の4分の1を限度とするとされ ました(最高裁判決昭和51年7月8日)。

判例は、会社の従業員への求償権の行使の可否と程度については会社の規模、施設状況、従業員の 業務の内容、労働条件、勤務態度と成績、従業員に対する会社の安全指導、車両整備の状況、保険加入によるリスク管理の有無と程度、従業員の過失の内容、同 情すべき事情の有無などを判断材料として、損害の公平な分担という見地から具体的妥当な結論を出そうとしています。

*三重県の情報サイト「とうけい」に掲載された記事です。

投稿者: 小山晃法律事務所

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