コラム

2016.07.26更新

交通事故に遭った被害者に、特異な性格などの心因的素因や既往症などの身体的素因があって、そのため治療が長期化し、多額の治療費などの損害賠償を請求された場合、加害者はその支払いに応じなければならないかという問題です。

結 論的には、被害者の過失が損害の発生・拡大に寄与した場合には、損害のすべてを加害者に負担させるのは酷であるので、損害の公平な分担を図るために、被害 者の過失を考慮して損害賠償の額を定めることができるとする民法722条2項(過失相殺)を、この場合にも類推適用して事案の妥当な解決が図られていま す。

最高裁判所(昭和63年4月21日判決)は、自動車に乗車中の主婦が軽度の追突事故に遭い、むち打ち症の傷害を負ったが、その後、外 傷性神経症を発症して10年以上も入通院して治療を継続したケースで、事故後の3年間の損害についてのみ相当因果関係を認め、しかも被害者の特異な性格、 自発的意欲の欠如などが症状の悪化と固定化を招いたとして、損害のうち4割の限度で加害者に賠償責任を負わせました(心因的素因のケース)。

ま た最高裁判所(平成4年6月25日判決)は、事故の1ヵ月前に車内でエンジンをかけて仮眠中に一酸化炭素中毒にかかり、2週間入院したことがある被害者 (タクシーの運転手、男性、57歳)が、高速道路の追越車線上で停車中に追突されて頭部打撲症の傷害を負い、その後、精神障害(痴呆様行動、理解力欠如、 失見当識、記銘力障害、言語さてつ症等)を発症して事故の3年後に死亡したというものについて、精神障害及び死亡と本件事故との間に相当因果関係を認めた 上で、被害者が精神障害を発して死亡するに至ったのは、事故による頭部の打撲症のほか、一酸化炭素中毒もその原因となっていたことは明らかであるとして、 被害者に生じた損害のうち、身体的素因で50%、さらに高速道路の追越車線上での停車で30%、合計80%を減額しました(身体的素因のケース)。

最 高裁判所が、心因的素因や身体的素因による減額を認めているのは、そのうち病的なもの、「疾患」といえるものに限られています。誰でも起こしうる心因的反 応や、通常経年的に弱くなった老人の骨の状態などは、ここにいう「心因的素因」や「身体的素因」には当たりませんので、誤解のないようにしてください。

*三重県の情報サイト「とうけい」に掲載された記事です。

投稿者: 小山晃法律事務所

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